丹精こめて〜恵みに感謝 JA阿蘇「ヒゴムラサキ」

阿蘇の大地の力を、どっしりと。熊本ナス「ヒゴムラサキ」。

雄大なカルデラを望む熊本県阿蘇郡高森町(たかもりまち)。高原特有の冷涼な気候で育つ熊本のナス「ヒゴムラサキ」の出荷が最盛期を迎えています。どっしりと大きく、鮮やかな紫色とフルーツのような甘みが特長の「ヒゴムラサキ」。朝夕に気温が下がるこれからの季節は、さらに糖度と旨みが増し、生食でも、加熱してもおいしくいただけます。

ヒゴムラサキ畑にほど近い清栄山(せいえいざん 標高1006m)から南阿蘇を一望する

JA阿蘇  ヒゴムラサキ農家 本田五男(いつお)さん 守代(すよ)さん

熊本の伝統野菜「赤ナス」を
さらにおいしく改良した「ヒゴムラサキ」。

赤牛がのんびりと草をはむ標高700メートルののどかな高原、熊本県阿蘇郡高森町。朝夕の寒暖の差と豊かな地下水が、「ヒゴムラサキ」の鮮やかな紫色とアクが少なく柔らかな食感をはぐくみます。「ヒゴムラサキ」は、熊本の伝統野菜である「赤ナス」を品種改良し、平成16年に出荷が始まった新品種。生食用の「赤ナス」のリンゴのようなおいしさにほれ込んだ高森町の農家の方と、熊本県農業普及指導員が中心となり、2年間の歳月をかけて品種改良を重ね、さらに糖度と旨みが凝縮した「ヒゴムラサキ」が誕生しました。誕生から7年経った今では、熊本県選定「くまもとふるさと野菜」に認定され、全国的に人気が高まっています。

JA阿蘇  ヒゴムラサキ農家 本田五男(いつお)さん 守代(すよ)さん

JA阿蘇「ヒゴムラサキ」

細やかに手入れされた環境で
すくすくと育つ。

出荷の時期は、毎朝5時に収穫を始めるというヒゴムラサキ農家の本田五男(いつお)さん(61歳)と、妻の守代(すよ)さん(62歳)。「収穫したヒゴムラサキを親戚に差し上げたら、その大きさと甘さに驚かれて“こんなナス食べたことがない”と喜んでいただきました。とてもうれしかったですね」と語ります。
1月になると有機堆肥(たいひ)をふんだんにほどこし、土作りに取りかかります。4月になり定植が近づくと、苗を一回り大きい鉢に植え替えてハウス内に1週間ほど置き、状態を観察。「環境に慣らしてから栄養たっぷりの土壌に定植すると、根付きと育ちがぐんとよくなるんです」。一カ月後には交配。花芽摘みや吊りヒモにツルを這わせるなどの細やかな作業を経て、交配後25〜28日で、長さ30センチ、直径7センチ以上もあるずっしりと重い「ヒゴムラサキ」が実ります。朝一番に収穫された「ヒゴムラサキ」は、その日のうちに熊本、東京、岐阜、鳥取、福岡など、全国各地に出荷されます。

JA阿蘇  ヒゴムラサキ農家 本田五男(いつお)さん 守代(すよ)さん

 

JA阿蘇「ヒゴムラサキ」

生でも安心して、おいしく。

「生でも安心しておいしく食べていただきたい」という思いから、徹底した減農薬栽培を心がけているという阿蘇・高森町のヒゴムラサキ農家の皆さん。虫を吸着するテープを吊るしたり、アザミウマ類などの害虫を食べる天敵(無害な虫)をハウス内に放つなど、できるだけ農薬を使わないよう努力を重ね、定期的に勉強会も行いながらもっとおいしいナスを皆様に届けたいという思いで頑張っています。「おいしくて安全なナスをつくるには、手間がかかりますが、色、艶、形、味など、すべてにこだわって作っています。生のフルーティーな甘みや、調理した時のトロッとした食感など、いろんなおいしさが発見できるヒゴムラサキを、是非食べてみてください」と本田さんは語ってくれました。連なる山々の緑、高原を渡るすがすがしい風、そして、遠くに聞こえる鳥のさえずり。豊かな自然をゆりかごに、今日もヒゴムラサキは力強く育っています。

本田守代さんの「ヒゴムラサキ入り海苔巻き」


JA阿蘇
http://www.jaaso.or.jp

取材日 平成23年8月17日