主な種類と特徴だいこんはアブラナ科の1年草で、日本では古くから各地でいろいろな品種が作られていましたが、現在では"青首だいこん"と"白首だいこん"の2つの品種群が中心となっています。現在の流通の主流は、辛みが弱く甘みが強い根の上部が緑色の"青首だいこん"です。根の全面が白い"白首だいこん"は、漬物や生食用等として多く利用されています。 "青首だいこん"は、1970年代から流通の中心となり、地上に出ていた根の上部が緑色(淡緑)になるのが特徴です。耐病性があるうえ、みずみずしくて甘みが強いので好まれ、収穫時に抜きやすい点もあって、全国各地で栽培されています。 【白首(しろくび)だいこん】 "白首だいこん"は、古くから栽培されてきたもので、根が全て白色なのが特徴です。"練馬だいこん" "三浦だいこん" "みの早生(わせ)だいこん"などがあり、たくあん漬け用としても多く利用されています。 【ラディッシュ】 ヨーロッパ系の小型だいこんの"ラディッシュ"は、根の皮が赤色のものが主流です。収穫までの期間が短いことから、"二十日だいこん"ともいわれ、主にサラダに利用されます。重さは10〜15g程です。 【聖護院(しょうごいん)だいこん】 "聖護院(しょうごいん)だいこん"は、古くから京都市の聖護院地域で栽培されていた丸だいこんです。重さは1〜2.5kgで、煮崩れしにくく、甘くて苦みが少ないので、主に煮物として利用されます。 【かいわれだいこん】 水耕栽培され、種をまいて発芽したものを数日で収穫します。双葉が二枚貝を割ったような形であることから"かいわれ"という名前がついたようです。"かいわれだいこん"の代表的な品種を栽培すると直径4〜5cm、長さ20cm程度のだいこんになります。 【辛みだいこん】 形がかぶに似ている"辛味だいこん"は、京都府、長野県、群馬県等、各地で栽培されています。持ち味である強い辛みから、"大根おろし"として、焼き魚やそばの薬味に利用されています。 ※その他、青皮紅芯(あおかわこうしん)、守口(もりぐち)だいこん、桜島だいこんなどもあります。 ![]() |
原産地と日本への渡来だいこんの原産地は地中海沿岸地域から中央アジアといわれています。日本へは8世紀頃中国から伝わったとされ、日本最古の書物である「古事記」にも記されています。日本各地の風土に適した地方品種が多く生まれ、日本のだいこんの品種の数は世界で最も多いといわれています。広く栽培されるようになったのは江戸時代からで、当時飢餓対策として奨励されました。江戸時代の後半には、現在の品種の基礎になる品種が出そろいました。 栄養素・機能性成分だいこんは大部分が水分ですが、栄養のバランスに優れた野菜です。特に抗酸化作用を持つビタミンCが多く含まれています。ビタミンCを多くとりたいときは、サラダ等生食の食材として利用しましょう。そのほか、カルシウムや食物繊維もバランスよく含まれています。食物繊維は便秘の解消に効果があり、生活習慣病の予防にもなります。また、だいこんの葉は、栄養豊富なので積極的に利用すると良いでしょう。 選び方葉つきの場合、葉が鮮度の目安になるので、葉先がみずみずしいものを選びましょう。根は太くて重く、かつ、表面が白くてツヤとハリがあるものが良品です。根の先に毛穴が少ないものは、順調に生育した証ですので、その肉質も緻密です。葉つきのものは日持ちも風味も良いですが、養分を葉にとられてしまうので、早めに葉を切り落としましょう。もちろん葉も食べられます。2分の1や4分の1の大きさにカットして販売されているだいこんは、断面がみずみずしいものが新鮮です。 保存方法だいこんは、大部分が水分ですので、乾燥を防ぐようにして保存しましょう。寒い季節には、新聞紙に包んで風が直接当たらないところに置けば、1週間は保存できます。冷蔵庫に保存する場合は、ラップに包み、野菜室で切り口を上にして保存します。葉つきの場合は、保存の前に葉を切り落としましょう。葉は固ゆですれば、冷凍保存も可能です。 (農畜産業振興機構「野菜ブック」より引用) |