あ!なるほど豆知識 ピーマン

主な種類と特徴

ピーマンは、本来辛みのあるとうがらし(辛とうがらし)の一種ですが、辛みのない大型のとうがらし(甘とうがらし)がピーマンと呼ばれています。昔のピーマンは、今のものより大きめで肉も厚く青臭い独特な香りが強く少し食べづらいものでしたが、現在は品種改良により中型の薄肉で香りが少ないタイプが主流となりました。また、大型で甘味のあるパプリカや、緑色のピーマンより甘味が強く、栄養価にも優れ独特の香りが少ない赤色に熟したピーマンなどがあります。

熊本県産ピーマン

【薄肉(うすにく)中型種】
日本で最も多く出回っているピーマンです。果実は円筒形で果肉はやや薄く、みぞがあります。1個当たりの重さは30〜40gで、独特な香りがあり、品種も多様です。実が完全に熟す前に収穫するため果実の色は緑色をしていますが、完熟すると赤色になります。赤色のものは、緑色のピーマンより甘味が強く独特の香りが少ないです。主な品種としては、‘みおぎ’‘京鈴(きょうすず)’などがよく知られています。
【厚肉(あつにく)大型種】
この種類には、果実がほぼ立方体の‘ベル系’と呼ばれるものや、果肉が薄く果実がやや長めの‘大獅子’と呼ばれるものがあり、薄肉中型種より栄養価に優れています。緑色で少し長めのものは‘ジャンボピーマン’と呼ばれ、肉厚なので詰め物等の料理に向いています。ベル系の熟したものは、一般的に‘パプリカ’と呼ばれ赤・オレンジ・黄・黒・紫などの多彩な色を生かしてサラダやマリネに使用されています。このうち黒色は、熱を加えると緑色に戻ってしまうので、色を楽しむには加熱しないようにしましょう。
【バナナピーマン】
中南米原産の細長いピーマンです。大きさは10〜15cm程度で、バナナのような形をしていることから、日本では‘バナナピーマン’といわれています。表面はシワが少なく滑らかで、熟すと緑、クリーム、黄、オレンジ、赤の順で多彩に色が変化します。肉厚なのでサラダだけでなく加熱調理にも向いています。

ピーマンの仲間「ししとう」

熊本耳寄り情報
ピーマンの花

原産地と日本への渡来

ピーマンと同属同種のとうがらしの原産地は中南米で、15世紀にコロンブスがスペインに持ち帰り、その後香辛料としてヨーロッパに伝わり、世界中に広まったとされています。日本に辛とうがらしが持ち込まれたのは江戸時代の初期頃といわれ、現在食べられているようなピーマン(甘とうがらし)は、明治の初期にアメリカから品種改良されたものが伝わりました。ピーマンの語源は、フランス語の‘ピマン(piment)’(辛とうがらし)と言われています。

栄養素・機能性成分

ピーマンは、栄養豊富な野菜です。特にビタミンCを多く含み、実にレモンの2倍、トマトの5倍もあります。中くらいの大きさのピーマン4個で1日の摂取量をとることができ、美肌効果や抗酸化作用が期待できます。そのほか、ビタミンAなどのビタミン類や食物繊維を豊富に含んでおり、加熱調理しても栄養価が損なわれることが少ないので、どのような調理法でも栄養バランスよく食べられる野菜といえます。また、熟した赤ピーマンの方が、緑色のピーマンより栄養に富んでいます。

ピーマン

選び方

ヘタの切り口がきれいでピンッとしているものが新鮮です。全体にハリがあって、丸々とした肉厚なものがおいしいです。新鮮なものが一番ですので、色が濃くてツヤがあるものを選びましょう。多少曲がっていても、へこんでいても味には問題はありません。皮にシワがよっているもの、色が黒ずんでいるものは、鮮度が落ちている証拠です。

保存方法

ピーマンは、水気に弱いので通気性を良くした穴あきのポリ袋などに入れて保存しましょう。また、冷やしすぎると品質が落ちるので、10℃前後の冷蔵庫の野菜室に入れれば、1週間は保存が可能です。1つが傷むと他のものの傷みが早くなるので、まとめて保存する場合はヘタの色をこまめに確認し、傷んだものを取り除くのが良いでしょう。

調理メモ

(農畜産業振興機構「野菜ブック」より引用)